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秘密の回転寿司
第3章 マグロ
5体全ての『マグロ』が目の前を通りすぎて行った。

「佐伯君はどの『マグロ』がよかったかね?」

「う〜ん、1体目ですかね」

どの『マグロ』もよかったが、1体目の清楚な感じにそそられた。それに、競り落としたら「味わって」いいということだ。あの清楚な『マグロ』がどんなふうに乱れるのか見てみたかった。

「佐伯君とは趣味が合いそうだな」

社長は笑った。

「よし、何とか競り落としてやろう」

「さあ皆さま、お心は決まりましたか?それではお渡しした紙に金額をお書き下さい」

普通の競りと違って、一発勝負で決まるらしい。
社長がその紙に書いた金額は、俺には到底手の出ない金額で、さすが社長、としか言い様がなかった。

これで激安の秘密が見えた。
この地下での収入が上の店を支えているんだ。

俺が頷くのを見て社長が言った。

「こちらの競りのおかげで上の店はいいネタを安く提供できるのだよ」

スタッフがそれぞれの客から紙を受け取って司会の男に渡す。

「それでは、結果を発表させていただきます。ナンバー1の『マグロ』は…」
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