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「私が欲しいですか?お嬢様」
第10章 執事〜保護欲〜
今日は月に一度の朝礼。
学園に通ようお嬢様、
そして執事が全員集まる。
「今日は、1日
執事なしで学園生活を
過ごしていただきます」
ざわっ…
学園長の一言に会場全体が
騒ついた。
ーそんなの無理よー!
ーお嬢様と離れるなど…
あたしにとっては
特に驚くことでもないのだけど
ここのお嬢様達からしたら
それはあり得ない事なのかな。
横にいる詩織に目をやると
詩織はなんてことない顔をしていた。
「ふふ、今日は大和の目なく
自由だー」
「詩織様?あまりハシャギ過ぎは
ダメですからね?」
「わかってるって!」
そんなやりとりを、大和さんと
していた。
詩織はへっちゃらそうだな。
颯太さんは…いやきっと
大丈夫だろうな
とあたしは後ろにいる颯太さんを見た。
「…お嬢様」
颯太さんはちょっと泣きそうな
顔をしていた。
え?
ぷっ…
思わず吹き出してしまった。
「颯太さん、なんて顔して…ぷっ…」
いつもクールな颯太さんの
表情が崩れてた。
「私はお嬢様と…離れるなど…」
颯太さんはそっちのタイプの人?
「今日1日だけですよ?」
もう笑いが止まらない。
颯太さんのイメージがどんどん
崩れていく。
思っているよりも
クールじゃなくて可愛らしい人なのかも?
「放課後には会えますよね!?」
両手を握って訴えてくる。
涙が出るくらいおかしい。
「だ、大丈夫ですよっ!
安心してください、ね?」
そうして、執事のいない1日が始まった。