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「私が欲しいですか?お嬢様」
第11章 執事〜決断〜
あたしは少しずつ気づいていた。
この感情の意味に。
そして、少しずつ決めはじめていた。
誰を専属の執事にするのか。
ーーーーーーーーーーーーーーー
ーねぇ約束だよ?
ーやくそく?
ーそう!僕が大きくなったら
結婚するって!
ーうん!けっこんしゅる!
ーゆーびきりげーんまん♬
この子は誰だっけ…
顔が思い出せない。
あなたは誰?
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パチー。
「…ゆめ…」
電気を消そうとしていた
颯太さんがあたしの声に気づき
近づく。
「お嬢様…起きてしまわれたのですか?」
少し心配そうな顔。
起き上がって時計を見ると
夜中0時を回った所だった。
「…うん。夢を見たの…」
颯太さんはベッドの隣に膝をつく。
「夢でございますか?」
あたしは頭を押さえて
夢に出てきた男の子を必死に
思い出そうとしていた。
「うん。すごく懐かしい夢…」
しかし思い出せるわけもなく
あたしは頭を左右に振って
溜め息をついた。
「お飲み物、飲まれますか?」
「うん」
そう言うと颯太さんは
片そうとしていた水を
コップに入れた。
あたしはベッドから出て
少し夜風に当たろうと
窓を開けた。
「どうぞ」
「ありがとう」
差し出されたお水を受け取って飲んだ。
その後すぐに、あたしの肩に
ストールがかけられた。
「いくら春とはいえ、まだ
夜風はお身体に触りますので…」
「うん…」
あたしはその時
隣にいる颯太さんに
どこか懐かしさを感じた。