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「私が欲しいですか?お嬢様」
第11章 執事〜決断〜

学園の温室。
ここにはたくさんの植物がある。
花や緑の匂いに少し落ち着く。
あたしは空気に耐えられなくて
「少し1人にしてください」と
颯太さんを避けた。
渋々、返事をした颯太さんは
あたしのそばからいなくなり
どこかへ行ってしまった。
教室にいるのも嫌で
授業を初めてサボった。
「…はぁ…」
この時間はみんな授業で
温室には誰もいない。
あれだけ悩んだ専属。
颯太さんと接してから
ほぼ心は決まっていた。
結斗さんも尚弥さんも
とてもいい人だったけど
一緒にいても何処か安心できる
颯太さんにしようって。
けど…先生の言った事が
本当なら…
そういえば、詩織も言ってた。
噂でって…
あの噂は本当だったということ…
だよね。
あたしは1人ベンチに座って
項垂れていた。
ガサー。
「彩芽様…?」
誰もいないはずの温室で
声をかけてきたのは結斗さんだった。
「ゆい…とさん」
結斗さんはあたしの
座るベンチまできて
膝をついた。
「こんな所で…今は授業中では…?」
「あ…うん…そうなんですけど」
その質問に苦笑いをしていたら
結斗さんは何かあったのを
感じとったかの様に答えた。
「たまにはそういう日もありますね。
喉、渇いていませんか?」
「え…?」
「実はこの温室、奥に進んで
温室出た所に小さなカフェが
あるのですよ?知ってますか?」
「カフェ?」
「はい。ご馳走致しますので
どうぞ、こちらへ」
そう言って立ち上がり
手を引いて案内された。

