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「私が欲しいですか?お嬢様」
第1章 執事〜晴人〜
ゆ、夢じゃなかった…
あんな恥ずかしい姿…

「あ、あの… ママには…」


恥ずかしながらも晴人さんの顔を見ると
人差し指を唇にあて

「大丈夫です。誰にも言いませんよ」


「…はい」



あ…よかった。

あたしは安堵してコーヒーを飲んだ。




でも、待って。

あんな風にされちゃって
その先がないなんてあり得ないよね…

あたしもいつかは晴人さんに…?

いや、でも…



考えてる内に顔が赤くなったのか

「彩芽様?どうかなさいましたか?」


「あっ!いえ!なんでもっ…」


「何か、変な想像でも…?」


「ーっ!?」

なんか色々バレてる気がする!

なんでなのぉ!?
恥ずかし過ぎて顔を上げられない。



「クスクス…わかりました、彩芽様」

そう言った晴人さんは膝をつき
顔を覗き込む。

「彩芽様の''初めて''は私では
ありませんよ、ご安心を」


「へ…?」


ずいぶん間抜けな答え方をして
しまったけど、そんなのはどうでもいい。

どういうこと…?


「彩芽様の初めては、彩芽様の専属となる
執事がいたします。私はあくまでも
沙月様の専属ですので、できるのはあそこ
までです」


あたしの初めては
あたしの専属執事!?

え?何それ…

「待って!どうして?
執事じゃなければいけないの!?
そんな…あの行為は…」


「好きな方と…でしょうか?」


コクリ…

あたしは頷く事しかできなかった。



「名雲家…いえ紅女学園に通う全ての
お嬢様は初めての相手が専属の執事と
なります。これは代々受け継がれ、そして
決まりなのです。
お嬢様は社交場などで様々な会長、社長
またはその方々のご子息と顔を合わせます。
万が一にも、そういった関係になった時
失礼があってはならないのです。
そこで夜のお相手も専属である執事が
勤める事となっております」



身動き一つできない。

晴人さんが言ってる事の意味がわからない。

っていうことはママも…?


「マ、ママも…?」


「はい、そうです。
あなたのお母様、沙月様の初めては
私でございます」



「え…」




「専属となったら執事は余程の事がない
限り、代わることはございません。
そして、専属は何人でもつけられます。
初めての相手をそこから選ぶ事も可能です」

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