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「私が欲しいですか?お嬢様」
第12章 颯太side
温室にたどり着くと
すぐにいつも座っているベンチに
向かった。
だが、そこに彩芽の姿はない。
「ここにも居ないなんて…」
いったいどこへ行ってしまったのか
少し焦る。
広い温室の中を探し歩く。
ふっと、温室の奥にある
カフェが目に入った。
「まさか…いや、でもカフェが
あるなんて知らないはず…」
そう思いつつも
颯太の足はカフェに向かっていた。
カチャー。
「あれ、颯太。珍しいな」
カウンターに立つマスターは
少し驚いた。
「お久しぶりです。マスター」
いつものカウンター席に座ることなく
カフェの中をキョロキョロと
する颯太にマスターは声をかけた。
「どうした?誰か探してるのか?」
「あ、まぁ。女性を1人…」
「女性?…もしかして彩芽ちゃん?」
コップを拭きながら
マスターは言った。
「彩芽様、来てるのですか!?」
カウンターに身を乗り出す。
「落ち着けって。結斗が
連れてきたんだよ。奥の個室にいる」
ー結斗が連れてきたんだよ。
なぜ、小萩と一緒にいるのか。
「何だか、かなり落ち込んでる
様子だったからな。だから個室を
使わせてるんだ」
落ち込んで…?
「小萩と2人で…ですか」
「ああ」
私は何故、小萩と一緒なのか
気になって個室へ行こうとした。
「今はやめとけ。何があったか
知らないが、今はそっとしといてやれ」
マスターがそう言ったのに
私は聞かずに個室の扉を開けた。
ガチャー。
ー結斗さん、これ本当に美味しい♬
ーマスターのパンケーキは
最高なんですよ?当たり前です。
笑い合うふたり。
「…颯太」
先に気づいたのは結斗だった。