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「私が欲しいですか?お嬢様」
第12章 颯太side
彩芽は驚いて一瞬こっちを
見たものの、気まずそうに
目をそらした。
その様子を結斗はチラッと確認した。
「授業をサボるなど…何を
お考えですか?彩芽様」
お構いなしに責める颯太。
颯太はすごくイライラしていた。
自分とではなく、結斗と
一緒に居る事に無性にイライラしていた。
彩芽は俯き、手に持っていた
フォークを置いた。
「まぁ、颯太!
そういう日もあるって!な?」
颯太に言い聞かせるように
まぁまぁと動作をする結斗。
そんな結斗にすら
颯太はイライラしていた。
「小萩、あなたには
関係のないことです」
結斗を冷たく突っぱねる。
「ーっ!そんな怒る事じゃないだろ?」
そんな結斗をよそに、
颯太は彩芽の腕を引っ張った。
「ちょっ!やだ!離して!」
「離しません。行きますよ」
やだやだ!と腕を振り払おうと
するが女の力で男に叶うはずもない。
「嫌がってるんだから
離してやれって」
結斗と必死に止める。
パンパンパンッー。
「はい、そこまで」
そんなやり取りを止めたのは
マスターだった。
「颯太、女の子に乱暴するな。
離してやれ」
キッーと少しきつめに颯太を睨む。
少し間が空いたあと
颯太は渋々手を離した。
掴まれていた腕を摩る彩芽。
「結斗も、颯太もここから出ろ」
マスターは2人に
首で出ろと合図した。
「しかしっ…!」
反論したのは颯太。
結斗は少し考え、わかったと返事した。
「彩芽様、またここで。
僕がここにいた時はお話しましょう」
そう言って笑顔で個室を出た。
「颯太、お前もだ」
10代の若者が、48の大人が見せる
迫力と風格に叶うはずもない。
颯太も渋々、個室を出た。