この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
「私が欲しいですか?お嬢様」
第13章 マスター〜純也〜
「ところで、彩芽ちゃん」
マスターは煙草をふかしながら話す。
「はい」
「なんかあった?颯太と」
ギクッー。
飲みかけていたコーヒーを
思わず吹きそうになった。
ゴクッ。
「そんな、ことありませんよ」
頬杖えをついて
ふーん?と見つめてくるマスター。
その目は全てを見透かしてる様で
ずっと見ていたら逆らえない気がした。
「まぁ話さなくてもいいけど。
あらかた、颯太の悪い噂というか
そういう関係の事を言われたんだろ?」
ーっ!?
「なっなんで!!!」
「やっぱりー?」
してやったりって顔をして
笑うマスター。
あたしはこの人に勝てる気がしなかった。
「聞いたけど…」
「けど?」
「あたしは恋人じゃないし
ましてや、お試し中の執事だし
何も言う資格ないんです」
ふぅーと煙りを吐く。
「でも、なんか…
モヤモヤするというか…」
あたしは感じてるままに言った。
「そっか。…好きなんだ、颯太が」
ブッー!!!!!
飲んでいたコーヒーを吹き出した。
「ちょっ!!んな!!!」
慌てるあたしをよそに
マスターはあーあって言いながら
布巾を持ってきてテーブルを拭いた。
「制服、大丈夫?」
マスターに言われて制服を見る。
「あ、大丈夫です。ごめんなさい」
「いーよ、いーよ。
そんなに動揺しないで、落ち着いて」
「はい、すみません…」
あたしが、颯太さんを好き…?
薄々気づいてはいたけど
どこか認めたくなくて否定してた。
でも…
「好きな事、認めた方が楽だよ?」
ーっ…
好き…
すき…
スキ…
涙が溢れてきた。
苦しかったこのモヤモヤが
壁を壊して涙として溢れてきた。
ぐすっー。
「よしよし。
泣いとけ泣いとけ」
そう言って頭をぽんぽんしてくれる。
あたしはこれが恋だと初めて自覚した。