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「私が欲しいですか?お嬢様」
第14章 執事〜颯太の想い〜
ーマスター、彩芽様は?
ー奥で寝てるよ。
ー寝てる?
ーああ、泣き疲れたんだろ。
ー車を待たせてるので声かけます。
ーああ。
マスターが少しキッチンを
片付けてくると言い
出て行ってる間に寝てしまっていた。
「彩芽様…」
優しく声をかけられる。
「んっ…」
「起きてください、帰りましょう」
ーこの声…!?
あたしは聞き覚えのある声に
驚いて飛び起きた。
「帰りましょう」
そこに昼間の恐い顔とは違う
優しい顔をした颯太さんが
立っていた。
「…はい」
またあのモヤモヤした感情が
押し寄せる。
あたしは立ち上がり
颯太さんの後について行った。
「彩芽ちゃん、またおいで」
カウンターにいるマスターが
優しく声をかける。
あたしはその顔をみて安心した。
「ありがとうございました、マスター。
また来ますね」
「おう。今度はオムライスでも
一緒に作ろうな」
あたしは何故かその一言が
すごく嬉しくて頷いた。
「うん!」
あたしと颯太さんはマスターに
頭を下げてカフェを後にした。
少し前を歩く颯太さんは
何も話さない。
けど、気持ちが落ち着いてるからか
さほど気まずくは感じなかった。