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「私が欲しいですか?お嬢様」
第14章 執事〜颯太の想い〜
「楽しかったですか?」
「へっ?」
あたしは驚いて顔をあげたら
颯太さんは振り向いて微笑んだ。
「ご一緒に料理をされたのですか?」
「あ、うん。野菜スープを
一緒作って…」
あたしの顔はたぶんちょっとだけ
引きつってる。
「そうなんですね。
ぜひ、今度は私も飲みたいです」
そう言った颯太さんは
笑っていて、あたしは
なんか嬉しくなった。
「はい!今度作りますね!」
そう答えるとニコッと笑い
また歩き出した。
マスターに言われた。
ちゃんと話せよって。
どんな過去があっても
この人から話を聞く。
先生の言葉じゃなくて
この人の言葉を信じる。
「颯太さんは好き嫌いありますか?」
あたしは駆け寄って声をかけた。
「好き嫌いですか?
そうですねぇ。強いてあげるならば
ピーマンですね」
颯太さんはこめかみを
掻きながら答えた。
「クスッー。
ピーマン駄目なんですか?
子供みたいですね!」
「食べられますよ!?でも
苦手なんです。あの苦さが…」
そう言って言い訳する
颯太さんがおかしくて
ずっと笑っていた。
意外だった。
今日は意外な颯太さんを知った。
あんな風に怒ったような
イライラしたような感情も出すこと。
ピーマンが苦手なこと。
完璧に見えるけど
実はそうじゃない。
それが嬉しかった。