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「私が欲しいですか?お嬢様」
第14章 執事〜颯太の想い〜

部屋で髪の毛を拭いていると
颯太さんが戻ってきた。


「彩芽様、お待たせしました」

キッチンから戻ってきた
颯太さんはいつも通り夕食を
持ってきた。

いったい何をしに行ったのか…

「髪の毛、乾かしてから
夕食にいたしましょう」


そう言っていつも通り
髪の毛を乾かし始めた。



「どうしてキッチンに行ったの?」

心地よい髪の毛をとかす手の
温もりも感じながら声をかけた。


「マスターには勝てないかも
しれませんが…
私もスープを作ってみました」


「え、スープを?」

そのために、キッチンにこもったの?


「私も料理は得意なのですよ?」

少し自慢気な顔。


あたしは何だかおかしくなった。

「ふふ、対抗意識ですか?」


「そうですね」

冗談で聞いたつもりだったのに
颯太さんはさらっと答えた。
その答えにちょっと恥ずかしくなって
あたしは黙ってしまった。


颯太さんの指が髪の毛に絡まる。
後ろにいる颯太さんが
そっと屈んで、あたしの耳に
顔を近づける。

鏡越しに見るその姿にドキドキする。

「召し上がってくださいますよね…?」



頭に響く甘く低い声。
拒否権なんてあたしにはないのに。


「はい」

話しをしたいのに
タイミングを掴めないどころか
ドキドキしてそれどころじゃない。

颯太さんはあたしの返事を聞くと
ニッコリ笑って、あたしの耳に
キスをした。

チュッー。


「あっ…」

その音と息が頭を痺れさせる。



だめだめ!

まず話をしなくちゃ!!

あたしはその甘い痺れを吹き飛ばす為に
頭をブルブル振った。


「どうかしましたか?」

分かっているのに
わざとらしく聞いてくる颯太さん。

「なんでもないですっ!」

あたしは顔を真っ赤にして答えた。




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