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「私が欲しいですか?お嬢様」
第14章 執事〜颯太の想い〜
すぐには決められなかった。
過去は過去だけど
けれど、その関係はつい
最近まで続いていた。
「…少しだけ…時間ください」
それが精一杯だった。
頭の中がグチャグチャだった。
握られていた手がゆっくりと緩む。
頭の中は整理がつかないのに
心はその手を離さないでと
願っていた。
けど、それを引き止める勇気は
どこにもなくて。
颯太さんはゆっくり立ち上がった。
「かしこまりました。
本日はこれで失礼いたします。
明日、また7時にこちらへ伺います」
それだけ言って部屋を出ていった。
ーパタン。
颯太さんはあたしの代わりに
あの先生を抱いていた。
でも先生は颯太さんをずっと
好きだった。
複雑だった、気持ちが。
けれど、これは過去。
颯太さんはもう二度と
あの先生との関係は持たないだろう…
けど、あの先生は知ってる。
颯太さんが女性をどんな風に抱くのか。
それを知ってる人と
あたしはこれからも顔を合わせる事に
なるんだよね…
あたしはまだ気づいてなかった。
これが嫉妬だと。