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「私が欲しいですか?お嬢様」
第19章 専属〜守りたい人〜
朝6時。
目を覚ますと隣で寝ていたはずの
彩芽の姿はどこにもなかった。
自分が起きる前に起き
部屋に戻ったというのか…
私は心なしか慌てて準備を済ませ
すぐ彩芽の部屋に向かった。
自分の部屋と彩芽の部屋とでは
だいぶ距離がある。
同じ敷地内とはいえ、
大人の足でも歩いて5分。
私はいつも時間に余裕をもって
行動しているが、
今日はやけに遠く感じる。
それほど、気持ちが高まっている
ということか…
廊下を急ぎ足で歩いていたら
彩芽の母、沙月の執事
晴人に出くわした。
「颯太、おはよう」
「おはようございます」
沙月様よりも少し上と聞いているが
いったいいくつなのか。
私も詳しくは知らない。
聞いてもいつも誤魔化されてしまう。
ーいったいおいくつなんですか?
ーえ?いくつに見えるー?
ーからかうおつもりですか?
ーそんな怒るなって!
想像に任せますよ〜
という具合で。
彩芽にも聞いた事があったが
知らないと返ってきた。
「昨日、彩芽様が部屋に
いないと沙月様が気にしていたのだが…」
「あ…」
口元を上げ笑う晴人。
「やはりか。わかっていた。
沙月様には言ってあるから
気にしないでいい」
「申し訳ありません」
私は少しまずかったかと思い
謝った。
「謝らなくていい。沙月様も
ちゃんとわかっているから」
ーわかっているから…
そうだ、あの学園のお嬢様だった人だ。
夜の情事を知らないわけはない。
「恐れいります」
歩きながら話しているうちに
彩芽と沙月様の部屋へ行く
分かれ道にたどり着く。
「では、失礼いたします」
「沙月様は今日1日出かけるそうだが
夜の食事は彩芽様ととおっしゃっていた。
伝えておいてくれ」
「かしこまりました」
そう告げ、お互いそれぞれの
専属の元へ急いだ。