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「私が欲しいですか?お嬢様」
第19章 専属〜守りたい人〜
コーヒーを用意して
髪の毛をとかすのを
変わろうと声をかけた。
「彩芽様、ブラシを…」
少し躊躇したが
差し出した右手にブラシを
そっと置いてくれた。
「あ、ありがと…」
「いえ…」
私は受け取ったブラシを持ち
丁寧にかけていく。
髪の毛はずっと伸ばしているからか
手入れにも時間がかかる。
だが、私はこの時間は結構好きだ。
髪の毛に触れている時
目を閉じてうっとりと
気持ち良さそうな顔をする
この時間が…。
「彩芽様、本日は沙月様が
夜の食事をご一緒にと…
おっしゃっておりました」
「ママと!?」
表情がいっきに明るくなる。
本当に仲のいい親子だ。
「はい、沙月様のお部屋でだと
思いますよ」
「ふふ!やったぁ!」
彩芽は両手で頬を抑えて
終始ニコニコしていた。
私もまたその姿を見て
微笑む。
あの頃と変わっていない。
ーきょうもひとり?
ーううん、きょうは僕といっしょに
ごはんだよっ!
ーやった!うれしいっ!ふふ〜!
頬を抑えて喜ぶ姿は
いくつになっても
変わらないものなのかな。
コト…
「さっ、終わりましたよ!
朝食をお持ちします。制服に着替えて
おいてくださいね」
「はい!ありがとうございますっ!」
そう言って私は
朝食を取りに部屋を出た。