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「私が欲しいですか?お嬢様」
第2章 執事〜選択〜
触れた手の感触が
他の4人とは違う…


「里見学園長、よろしければ
この先は私が案内いたします」


握手された状態のまま
その人は言った。

「へ!?」


「あら、片岡くん。
じゃあお願いできますか?」


お、お願いって
いや!待って、あたしが無理!

そんな言葉は言えるはずもなく
あれよあれよと言う間に決まり
学園長は部屋を出て行った。


そ、そんなぁ〜…


溜め息が出そうになるのを我慢して
ゆっくり、5人の方を向く。

「彩芽様って…」

振り向くと同時に目の前にきたのは
1番最初に紹介された
小萩 結斗。


じーっと顔を見られる。
さすがにこの距離で見られるのは
恥ずかしくて仕方ない。

「なっ…なんですか…!?」



「すごく、可愛いですね!」
小萩さんは、またもや屈託の無い笑顔で
さらりと言った。



かっ!かわいい!?
あたしが!?


「おい、結斗。彩芽様、困ってるだろ」

そう言って小萩さんの肩をつかみ
声をかけたのは、さっきの無愛想な人。

確か…真壁 尚弥。


「失礼しました、お許しください」


「あ、いえ…」


この人、苦手だ…
言葉は丁寧だけど、どこかぶっきら棒と
いうか、笑ってるんだけど
目が笑ってない…。


「だってさぁ!尚弥も思うだろ!?
彩芽様、可愛いよな!」


「だぁから!お前はいつもいつも
素直に言い過ぎなんだよ!」


ってなんか二人で始まった口論。

どうしよう…

「あ、あのぉ〜」


あたしの声は聞こえてない。




「彩芽様」
優しく響く片岡さんの声。

「あ…」


「小萩と真壁のやり取りは
いつもの事ですので、お気になさらず。
学園ご案内いたします」



お手を…と差し出され
恥ずかしさと戸惑いを抱えたまま
右手を差し出した。

「はい…すみません」



片岡さんは崩れる事ない笑顔で
首を傾げる。

「謝る事はございませんよ?
参りましょうか」


うぅ…なんかこの人には
逆らえる気がしない…



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