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「私が欲しいですか?お嬢様」
第20章 純也〜マスターの恋〜
チャリンー。
「こんにちは、マスター」
そう言いながら入ってきたのは颯太。
後ろからおずおずと入ってきたのは
もちろん彩芽ちゃん。
「おう。…こんにちは、彩芽ちゃん」
小さな身体でペコっと挨拶する。
「こんにちは、この前は
行けなくてごめんなさい」
「いいよ、いいよ!大丈夫!」
俺は娘の様な感覚で
彩芽ちゃんの頭に手を伸ばし
ポンポンとした。
その手をガシッとつかむ颯太。
「勝手に彩芽様に触れないでください」
余裕のなさそうな瞳。
この言動。
颯太の表情ですぐわかる。
一線を越えたのか。
「お前ねぇ、俺からしたら
彩芽ちゃんは娘でもおかしくないわけよ?
ましてや、この子の母親
沙月とは知り合いなんだぜ?」
煙草を加えたまま
ふふっと笑う。
「颯太さん、手…離してあげて?」
握る手にそっと手を重ねて
颯太を優しく見る瞳。
雪弥を見る沙月の瞳と同じだ。
やはり親子だな。
「…かしこまりました」
彩芽ちゃんの言うことには
弱いんだな、こいつ。
「ありがとね、彩芽ちゃん」
「いえ、ごめんなさい」
彩芽ちゃんの表情を見る。
あれから何日かたってるけど
どうやら落ち着いてるみたいだ。