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「私が欲しいですか?お嬢様」
第20章 純也〜マスターの恋〜
彼女は読書が好きだ。
毎日、毎日違う本を持ってきては
読み始めるとこのカフェに
4時間はいる。
15時に終わるこの学園、
それからここに来て4時間。
よくまぁ夜遅くになるというのに
両親が許してくれるなと思っていたが
必ず7時になると執事が
迎えに来る。
黒髪の切れ長な目をした
とても優しそうな執事だ。
彼はとても彼女を大切に
思っているように見えた。
「よしっ!」
俺は、今日こそは
彼女に話しかけようと
メニューの新作に考えた
クッキーを片手に意気込んだ。
「あ、あの!失礼しますっ」
突然来た俺に驚いて
目を見開いてこっちを向く。
「はい…?」
声をかけたはいいが…
俺は何して…っ!!!???
「あの、どうかなさいましたか?」
彼女は大きな瞳を
真っ直ぐこちらに向ける。
俺は赤面した。
「あ、あの!今度メニューに
加えっ!加えようと!
しっ新作のクッキーをつ、作ったんです!」
俺は可愛く盛り付けた
クッキーのバスケットを
両手で差し出した。
「まぁ!かわいい〜!」
彼女は笑ってそのバスケットを
見ている。
「良かったら…試食してもらえますか?」
そのバスケットをずいっと
彼女に渡した。
「私でいいの?」
「ぜひ、お願いします」
そう言うと彼女は
にっこり笑って
「喜んで」
と答えクッキーを手にした。