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「私が欲しいですか?お嬢様」
第20章 純也〜マスターの恋〜

カランカランー。

「こんにちはっ!純也さん!」


時計をチラッと見ると
14時30分。
今日の彼女はいつもよりも
少し早く来た。

「こんにちは、今日は早いね?」

俺はさっきまでいた
お嬢様の食器を片付けていた。


「私は成績優秀ですから〜!」


「ほんとに?」


「嘘です!笑
悪くはないけどね!」


「俺みたいにならないように
ちゃんと勉強しなきゃダメだよー?」


クスクス笑いながら
はぁいと返事をする。

彼女と打ち解けることが
できてから気づいたこと。


よく笑う。

こういう冗談めいた事も言う。

そして何より食いしん坊だ。


「純也さんっ!今日はなぁに?」


そう。
あの日から毎日のように
俺の作ったお菓子や料理を
食べたいと言っては
作らされる。


俺も嬉しいから文句は言わないし
むしろ最近では先に作る。

「今日はシフォンケーキだよ」

その言葉にぱぁぁ!と
瞳が大きく開いて
嬉しそうな顔をする。


この顔が堪らないんだ。



「はい、手洗いをしない
お嬢様にはあげませんよ?」



「はいっ!」

一目散に手を洗いに行く。

まるで子どもだ。

だが、そんな彼女は堪らなく
かわいくて仕方ない。


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