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「私が欲しいですか?お嬢様」
第20章 純也〜マスターの恋〜
最初はこんな関係が
続けばいいと
思っていたんだ。
想いを伝えようとも思わなかったし
俺はただ幸せでいてほしいと…
けれど、ある日きた彼女
沙月はまた初めて会った時と
同じ様に泣きながら来たんだ。
カランカランー。
時計を見る。
時刻は15時。
「いらっしゃい、沙月」
もうこの頃にはわざわざ
顔をあげなくても
この時間に沙月が来るのは
わかっていた。
が、いつもは明るく返ってくる
返事が今日は返ってこない。
おかしいと思った俺は
片付けていた手を止めて
顔を上げた。
…なん…で泣いて…
そこにはポロポロと
涙を流し立ち尽くす沙月。
俺は慌ててカウンターを出て
駆け寄った。
ガタン
「どうした…?」
沙月は目の前にきた
俺の服を掴んで
さっきよりも酷く涙を流した。
「沙月?どうした…ん?」
その手に、自分の手を重ね
優しく話かける。
「じゅん…やさん…」
やっとの思いで
声を出してるようだった。
「ん?沙月…」
俺は頭をポンポンと撫でた。