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「私が欲しいですか?お嬢様」
第20章 純也〜マスターの恋〜
でもそんな時間も
長くは続かなかった。
コンコンー。
夜20時。
カフェを閉店させて
片付けをしている最中だった。
コンコンって…
こんな時間に誰だ?
チャリン…
「はい、今日はもう…
って君は確か…」
「沙月様の専属執事、
晴人と申します」
そう、沙月の専属執事晴人がいた。
沙月には専属が2人いる。
大抵いつも一緒なのは雪弥だが
たまにこの晴人が来る。
「いったいどうしたんですか?
沙月はさっき雪弥が来て
連れて帰ったけど…」
「実は純也さんにお話があって
私だけで来ました」
話…
なんとなくわかる気がした。
俺はとりあえず中へ通し
入り口の鍵を閉めた。
「コーヒーでいいですか?」
「いえ、お話が終わりましたら
すぐに失礼しますので…」
俺はコーヒーを入れる手を止め
カウンターを出て座った。
「話の内容は何と無く
察しがつくけど…俺も馬鹿じゃないし
いい大人だからね」
「なら、話が早いです。
率直に申し上げます」
改まる晴人。
「沙月様とのお付き合いを
やめていただきたいのです」
…やっぱりか。
俺は目閉じ頬杖をついた。
「沙月様がここに来る様に
なってから、授業を休みがちに
なっていることはご存知ですか?」
「ああ、それは俺も
良くないと思ってるよ」
だから、沙月にはきちんと
授業は受けろと言ってるしな。
けど、良くない事なんだろ
ここに来ること事態が。
「言いたい事はわかってる」
ここに来ることで
沙月は恐らく成績も下がってきてる。
良くない方向に進んでるのは
わかってる。
………。
わかってたことだ。
「もうここには来るなと話すよ」
俺は自ら別れを告げると
晴人に言った。
「申し訳…ございません」
「いや、謝る必要はない。
いずれはこうなるって
わかってたしな」
一通り話が終わると
俺は晴人を見送り
カフェを閉めた。
煙草に火をつける。
ふぅー…
「ハハ…きっついな…」
俺は心の痛みを口にした。