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「私が欲しいですか?お嬢様」
第20章 純也〜マスターの恋〜
チャリン…
時刻は13時。
「純也さんっ!」
「お前、まだ授業あるだろ」
今日も沙月は15時前に来た。
ほんとに…
だから高校生は困る。
「いいのっ!大丈夫!」
何が大丈夫だ…
大丈夫だったら執事が
あんな風に話には来ないだろ。
俺はとりあえず紅茶を出した。
「これ飲んだら、戻れ」
心を鬼にするしかない。
沙月のためにならない。
「やだ!戻らない!」
ワガママ言って
プイと拗ねる沙月。
そんな顔も可愛いんだけどな。
俺は沙月の手首を引いて
抱き寄せた。
ぎゅ…
「じゅ、純也さん?」
ごめんな、沙月。
俺には何にもないから。
最後に沙月の匂いを感じる。
…これで終わりだ。
俺は抱きしめる力をさらに
強くして耳元で言った。
「沙月、もうここへは来るな」
そう言って身体を離した。
「え…?どういう…」
「お前とはもう会わない。
だからここへも今日で最後だ」
目に涙を溜めて俺を見る。