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「私が欲しいですか?お嬢様」
第23章 彩芽〜繋がる過去〜
夜中0時を過ぎた頃。
仕事を終えた沙月が向かうのは
颯太の部屋。
今日が日本にいるのは最後の日。
明日の昼にはまたアメリカに戻り
それから恐らく半年は戻れない。
忙しくて時間がとれなかったけど
話をするなら今しかない。
颯太くんにはもう電話をして
話があると伝えてある。
コンコンー
ガチャ
「こんばんは、
遅くにごめんなさいね」
「いえ、お仕事
お疲れ様でした」
訪ねてきた沙月を部屋に
通し椅子をひく。
沙月はそれを見て止めた。
「大丈夫よ、そういうのは
彩芽にだけで。颯太くんは
私の専属ではないし…ね?」
「かしこまりました」
謝り頭を下げる颯太の肩を叩き
笑顔を向ける。
「とりあえず!颯太くんも
座って!」
そう言われ、向かい側の
椅子に座る颯太。
「それで…お話というのは…」
「ぷっ…そんなにかしこまらないで?
対した事じゃないのよ」
そう言いながら、颯太が
用意していた紅茶に口をつけた。
カチャー
「彩芽とはどう?仲良くしてる?」
予想もしてなかった質問に
颯太は少し目を開く。
だが、ゆっくり答えた。
「はい、彩芽様は
お優しい方ですので…」
それを聞いて、優しく
微笑む沙月。
「そっか、なら良かった。
でもいいのよ?彩芽様なんて
呼ばなくても……」
颯太にはその意味がわからず
驚いていた。
「しかし…なんて呼べば…」
困っている颯太を見て
クスクス笑い出す。
「前みたいに、彩ちゃんで
いいわよ?颯ちゃん?」
彩ちゃん…って
小さい頃とはずいぶん違うのに…
「え……なぜ…
覚えていたのですか?」
きっと彩芽と同様
忘れていると思っていた颯太は
驚きを隠せなかった。