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「私が欲しいですか?お嬢様」
第23章 彩芽〜繋がる過去〜

「ない…とは言い切れない。
けれど…可能性は低いかもしれないわ」
沙月はまっすぐ颯太を見つめ
その質問に答えた。
颯太は何度か彩芽が見たという
夢の話をした。
「実は…私が執事として
つくようになってから時折
夢を見ると言われたのです」
「夢…?」
「はい。思い出せない
男の子がいると…」
その言葉に沙月は目を見開いた。
「え…それって…」
「恐らく…私との記憶だと…」
だからこそ
記憶が戻る可能性はまだ
あるのではないかと思っている。
「そうだったのね…
私はほとんど海外にいるから
あなたの方が詳しいかも。
もしかしたら…もあるかも」
沙月は微笑み瞬きをした。
「あなたがずっとそばにいたら
戻る可能性は高いかもしれないわ」
「そうですね…そうであったら
いいとは思いますが…
例え記憶が戻らずとも、そばに
いるつもりでございます」
まっすぐな瞳。
まっすぐな想い。
颯太が彩芽を想う気持ちは
偽りのないものだった。

