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「私が欲しいですか?お嬢様」
第23章 彩芽〜繋がる過去〜


夢…

颯太さんは確かにあたしの
隣にいた。


呼吸が整わないあたしの
髪を撫でる優しい手。


「何か…嫌な夢でも見たのですか?」


目の前にいるその優しい微笑みに
あたしは何故かひどく安心して
涙が溢れた。

その涙を颯太さんが手で拭い
頬包む。


「どうしたのですか?いったい」

あたしは小さく首を横に振った。

夢の話だけど…
あたしはきっと忘れちゃいけない
何かを忘れてる気がした。


「今…何時…」


颯太さんは時計を見る。


「午前2時を過ぎた所ですよ」


「…どうしてここに?」


「お部屋の電気がついていましたので
消しにきたのですよ」


「あ…ごめんなさい…」


「いいえ、一度起きたのですか?」


そう、寝る直前まで
必ず颯太さんはそばにいる。

だから寝る時には颯太さんが
電気を消してくれるが
あたしはどうしても本の続きを
読みたくてまた電気をつけた。


そして枕元に小説を置いたまま
眠ってしまっていた。


「ごめんなさい…どうしても
本の続きが気になって」


「そうでしたか…眠れそうですか?」


おでこをコツンとくっつけて
目を閉じ聞いてくる颯太さん。

あたしもそっと目を閉じる。

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