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「私が欲しいですか?お嬢様」
第23章 彩芽〜繋がる過去〜


あたしの口から素直な気持ちが
溢れてくる。




「そばにいてほしい…」



目を開きおでこを離す。

少しだけ戸惑った様子の颯太。
けれど、すぐに微笑む。

「今日は甘えん坊なのですね…」


颯太さんの匂いに包まれたい。

それが素直な気持ちだった。


甘えん坊…今はそれでもいい。


あたしは布団から手を出し
伸ばした。


「ぎゅってして…」



そんな素直な彩芽に
胸がキュッと苦しくなる颯太。

思わず頬な緩みそうになるのを
必死に抑え彩芽の望みに答えた。


ぎゅっ…



いったいどうしたのか

抱きしめると彩芽は大きく息を吸った。


「颯太さん…」


彩芽を抱きしめ、耳元で答える。


「はい」


「颯太さんの部屋…行きたい」

抱きつかれ、抱きしめ
その言葉に目を見開いた。

彩芽はただ颯太の匂いに
包まれたいが為に放った言葉だとは
颯太はわからずに
ただただ驚いていた。




「誘っているのですか?」


「ーっ!?」


彩芽は驚き身体を離そうとするが
颯太に寄ってキツく抱きしめられ
離れられない。


きっと今は顔が真っ赤だろう。


けれどその姿も
颯太にとってはかわいいものだった。



「冗談です…私の部屋で寝ますか?」



彩芽は静かに頷いた。




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