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「私が欲しいですか?お嬢様」
第23章 彩芽〜繋がる過去〜
パサッ
颯太のベッドで寝転ぶ
彩芽の髪を撫でる。
「ゆっくり、お休みくださいね」
その一言だけ言うと
その場を離れようとした。
彩芽はきゅっと服をつかみ
下唇を噛む。
「…どこ、行くの」
喉の奥から絞り出した様な声で
颯太に訪ねた。
その声に振り向き、そっと微笑む。
「私はソファで…」
彩芽は黙ったまま首を横に振った。
その姿を見ると
掴む服の手に、自分の手を重ねて
身体ごと向き直った。
「どうされましたか?」
あたしは無意識で服を掴んで
首を横に振ってた。
何か思い出せそうな気がして
1人で寝るのは正直怖かった。
あたしは何か忘れてる。
大切なことを。
「彩芽様?」
黙ったままの彩芽を不思議に思い
颯太はベッドに腰掛けた。
頬に触れるその手が
どこか懐かしさと心地よさを
感じさせる。
「ねぇ…」
彩芽の小さい声が聞こえた。
「はい」
何か忘れてる、それを
聞いてみようか…
「あたし…何か忘れてる気がするの」
「何か…ですか?」
見つめ合うその目に
颯太も驚いていた。
「うん、あの男の子のこと…」
颯太はその言葉を聞いて
自分の事だと言いたかった。
けれど、きっとそれを聞いたら
彩芽が混乱するかもしれないと
ぐっと言うのを堪えた。