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「私が欲しいですか?お嬢様」
第25章 彩芽〜繋がる心〜

記憶が戻ってからというもの
あたしは今までのことが
気恥ずかしく感じて
ずっと颯太さんと呼んでいた。


でも颯太さんは
それに反応して
なぜ呼んでくれないのか
しつこい程に責めてくる。



「彩芽様??なぜですか?
なぜ呼んでくださらないのですか?」

あたしの目の前に顔を
近づける。

ち、近い…

下手したら唇が触れる距離。


「〜っ!」

自分だってあたしの事
ずっと彩芽様だし!
敬語だし!

人の事言えないのにっ!


あたしがそれを責めると
必ず颯太さんは

ー私はあくまでも今は執事ですので


と返されてしまう。


「呼んでください、彩芽様」


こうなったら…


あたしはこの攻撃を避けたい為に
毎日色々考えに考えた!

結果、あたしにそういうなら
''彩芽''と呼んでと言ってやるっ!と
対策を練った。


「わ、わかった!
なら!颯太さんもですっ!
彩芽って呼んで!」


颯太さんは驚いた顔をしてる。

あたしは、へへんっ
とばかりにどーだ!って顔をした。





けれど…





それは無駄だった…らしい。



「いいですよ…」


ぬあっ!?

予想外の答え!!!


ワナワナと慌ててるあたしの
頬を両手で包むと
おでこをコツンとくっつける。


颯太さんの唇が動いた。




「…彩芽…」


ドクンッ!!!!


し、心臓がっ!




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