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「私が欲しいですか?お嬢様」
第26章 マスターの恋模様
沙月はバッグから
1枚の紙を出し純也に差し出した。
目の前に出された白い封筒。
「これは?」
少しだけ視線を落とし
沙月は答える。
「雪弥から、純也さん宛に
手紙です…」
純也は思わずくわえていた煙草を
落としそうになった。
手紙?
不思議に思いながらも
その手紙を受け取った。
「読んで下さい…」
「…ああ」
ジュ…
俺は煙草を灰皿に押し付けて
ハサミを取り出した。
中に入ってるのは
本当に手紙だ。
純也はその一枚の手紙を
そっと開き、ゆっくり目を通した。
「…………え?」
その手紙の内容に
驚いた純也は声をあげ
沙月は少し首を傾げた。
「お前…この内容知ってるの?」
「いえ、詳しくは…
雪弥が無くなる前に、自分が
いなくなっても大丈夫な様に
しておく…とは言われましたけど…」
「そうか…」
長々と書いてある手紙。
ほとんどが感謝の言葉。
だが、最後の文章はお願いだった。
''僕がこの世から去り、この手紙が
マスターの元へ届いたときは
どうか、お願いします。
沙月のそばにいてほしいのです。
沙月と共に一生を過ごしてほしいのです。
厚かましい願いではありますが
どうか…
沙月の初恋はマスター、あなたです。
沙月にとって、あなたは今でも
特別な存在です。
どうか、お願いします。''
なんだ、この願いは…
俺と沙月はとっくに終わってるのに。
あれから何十年経ってると
思ってるんだ。