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「私が欲しいですか?お嬢様」
第26章 マスターの恋模様
颯太さんが突然休みを
取りたいと言ってきた。
実家に一度帰らなくてはいけないと。
何かあったのかもしれない。
でもあたしには聞けなかった。
ー申し訳ありません。
ーううん、大丈夫。
あたしは平気なんだけど、
颯太さんは大丈夫?
ーはい、大丈夫です。
本当に申し訳ありません。
頭を深々と下げてた…
今日からしばらく1人…
いつまでお休みなんだろう。
コンコン
「はい」
カチャ
入ってきたのは颯太さん。
「彩芽様…そろそろ行きますので…」
大きなバッグを床に置く。
それを見ると
寂しさが募る。
「…うん」
あたしはそっと駆け寄り
抱きついた。
「あや…め…」
ぎゅうっと力をこめる。
なんだろう、この不安。
まるでもう会えない様な…
ぎゅっ…
「…帰ってくるよね…?」
颯太は自分の胸に
顔をうずめて小さく呟く声に
目を見開いた。
震えている。
泣いてるのか…?
颯太は彩芽を抱きしめた。
「大丈夫です…必ず帰ってきます」
「必ず…だよ…」
そう2人は約束して
颯太は名雲の屋敷を後にした。