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「私が欲しいですか?お嬢様」
第28章 専属執事〜別離〜

彩芽はどうしているだろうか。
携帯も取り上げられ
連絡もできず…こんな事になって。
「あの人はいつになったら
ここへ来るんだ?」
あの人とは、母親の事。
実の母親ではない。
父の再婚した相手だ。
「さぁね。あの人がこんな事を
してるなんて父さんは知らないだろ」
「だな、父さんは無理にこの家を
継ぐ必要はないと言っていたけど」
兄さんはそう言うと
ベッドに腰をかけ足を組んだ。
「兄さん、わかってるでしょ?
あの人はこの家の財産が目的だ。
私達のどちらかが継がないと
お金は無くなるからな」
ソファに座りコーヒーを飲む。
彩芽と一緒に飲むコーヒーと
ずいずん違う。
同じコーヒーでも
こんなにも味が違う。
「…兄さん」
「ん?」
「兄さんは、1人で暮らしてたの?」
兄さんの表情は曇った。
少し俯き、鼻で笑った。
「いや、いるよ。一緒に暮らしてる奴」
その言葉に少し驚き
思わず顔をあげた。
「恋人?」
目を閉じて静かに頷いた。
その表情は私と同じ。
相手を想い、
会いたくて、
連絡できない歯がゆさ。
「そっか……」
「せめて連絡だけでも取れればな。
お前もだろ?颯太」
「…ああ」
私と兄さんは
何とかしてここを出なくてはと
考えを巡らせた。

