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「私が欲しいですか?お嬢様」
第28章 専属執事〜別離〜


ガチャ


「お待たせいたしました」


晴人はたどり着くなり
頭を下げた。

「ごめんなさいね、突然お邪魔して」


そう謝っているが
顔は謝っていない。

派手な身なり。

濃い化粧。


「でも私が用があるのは
あなたではないわ。
あなた執事でしょ?」


「はい、執事です。
申し訳ありませんが、彩芽様は
体調がよろしくありませんので…」


「ふーん。まぁ、いいわ」



これが、颯太の母親?

晴人にはそれが信じられず
疑いをもっていた。
だが、それよりも今は
何の為にここへ来たのかを
知る必要がある。


「申し訳ありません。
僕から彩芽様にお伝えいたしますので」



颯太の母親は
足を組み替え晴人に目を向けた。


「颯太はもうここへは帰りません。
調べたら颯太と付き合ってるそうね。
申し訳ないけど、颯太は大事な
跡取りの1人なの。
別れてもらいますよ」



やっぱり…か。

が、なぜ1人できた?


別れさせるなら母親だけよりも
父親も一緒に来た方が…

もしかして…


晴人は考えを巡らせ
その言葉に答える。


「颯太のお父様はご承知
なのでしょうか?」


強気だった母親の顔付きは
一瞬歪んだ。


「しっ知ってるわよっ!」


明らかな動揺。

知らないんだと確信した。


「知らないですね?」


ニッコリ笑う晴人。

「お父様も一緒に
お話にきてください。
そうしましたら、こちらも
きちんと彩芽様にお伝えします」


「ーっ!?…なんて執事なの!
もう結構!帰ります!
颯太は絶対に
ここへは帰らせませんからね」





そう言うと勢いよく
応接室を出て行った。


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