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「私が欲しいですか?お嬢様」
第30章 尚弥〜溢れる想い〜
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「引っ越したい?」
彩芽の言葉に目を見開き
聞き返す晴人。
「はい、このままここに…」
彩芽が下した決断はあの家、
あの学園には戻らず
このままここ、北海道で暮らし
普通の高校に通うこと。
「紅学園は辞める…と?」
晴人の問いかけに小さく頷く。
「ここで、普通の高校に通って
ゆったり過ごしたいです」
彩芽の目をまっすぐ見つめる晴人。
その目には、今の言葉に
嘘偽りがないことを証明していた。
晴人は目を閉じ、頷いた。
「わかりました、お話しておきます」
晴人の言葉に、彩芽は
少し表情を緩め頭を下げた。
「ありがとうございます。
お願いします」
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ーパタン
彩芽が部屋を去ったあと
晴人は自分が想像もしていなかった
展開に少し驚いていた。
紅学園には戻らない
北海道に引っ越したい
さすがに1人では心配なので
執事を誰か1人でもここへ
置くべきだと話したが
彩芽はそれすらも断った。
いくら話しても折れないので
結局は晴人が折れ
時々ここへ自分が来るということを
条件に承諾した。
「さすが…沙月の子供だな…」
晴人は、1度決めたらそう簡単には
曲げない沙月にそっくりだと
心底思った。