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「私が欲しいですか?お嬢様」
第30章 尚弥〜溢れる想い〜
「新しい制服、お持ちしました」
あの夜以来、尚弥さんは
ものすごく優しくなった。
少しキツかった目つきも変わって
話し方も物腰が柔らかくなった。
前は少し、怖いと思うことも
あったけど今はない。
「あ、ありがとうございますっ!」
彩芽は尚弥から制服の入った箱を
受け取って開けた。
紅学園とは違う、普通の高校の制服。
紅学園の制服は華やかさに溢れ
色使いもきれいだった。
新しい制服はとてもシンプル
紺色のスカートにベスト。
白いシャツに赤いネクタイ。
彩芽は心なしか少し胸が
きゅっとなるのを感じたが
目を閉じて一呼吸した。
自分で決めたこと。
新しい生活がまた始まる。
「似合うかな…?」
制服を見ながら言うと
尚弥は優しく言った。
「どんな色でも、彩芽様なら
似合いますよ」
尚弥の言葉に彩芽は頷いた。