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「私が欲しいですか?お嬢様」
第30章 尚弥〜溢れる想い〜
「彩芽様…」
制服に着替え、
鏡の前でクルクルとまわり
確認している彩芽に声をかける。
彩芽は、ん?と顔をし尚弥を見た。
「本当に…よろしいのですか?」
尚弥の表情はいつになく真剣で
その言葉の意味は彩芽にもよく
わかっていた。
本当にこれでいいのか。
「颯太がどれほど彩芽様を
お慕いしていたか、私は知っています。
その颯太が、婚約などっー!!」
「やめて!!」
もう、いいの。
彩芽の言葉に身体をビクつかせ
尚弥は黙った。
彩芽は好きな気持ちを
押し殺そうと必死だった。
それは尚弥にも手にとる様に感じた。
だからこそ、このままでいいのかと
彩芽に問いかけた。
「……ならば、行きましょう。
颯太の家へ」
尚弥の言葉に目を見開く。
「な…に言って…」
尚弥はイスに座る彩芽に
ゆっくり近づき手をとる。
「今から確かめにいきましょう」
強引に引っ張る尚弥に
彩芽は必死に抵抗を示した。
「なっ!まって!いやだ!」
行きたくないっ!
行って、もし颯太さんが
婚約者の人と一緒だったら…?
そんな2人の姿は見たくない!
嫌だ、嫌だと抵抗しても
尚弥は手を離さなかった。