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「私が欲しいですか?お嬢様」
第9章 番外編〜大和×詩織〜初体験
コンコンー。
ガチャガチャと取手を揺らす音がなる。
部屋にこもった詩織は鍵を閉めていた。
大和は扉に手をあて少し考え
扉越しに詩織に声をかけた。
「詩織様、私です。
開けていただけませんか?」
「いやよ!」
その声は泣き声だった。
大和はチクリと心が痛んだ。
「詩織様、私とお話をいたしましょう。
お気持ちを聞かせて頂けませんか?」
「向こういって!話したくない!」
お見合いの話が余程ショックな理由が
あるのかもしれない。
そう考えた大和は、何としても
詩織から気持ちを聞かなければならなかった。
だが、この調子では拉致が空かない。
ならば…と大和は言った。
「…わかりました。
詩織様が開けてくださるまで
ここにいます」
中からの返事はない。
けれど、大和は言葉を続ける。
「ずっとです。開けてくださるまで
ずっとここにいます。
その間、私はもう話しません。
気持ちが落ち着きましたら、
鍵を開けてくださいね」
そう言って、大和は喋らなくなった。
詩織は少し驚いて
本当に待つのかと、そっと扉に近寄った。
いくら泣いてるとはいえ
ずっとそばにいてくれる執事は
気になるものだった。