この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
「私が欲しいですか?お嬢様」
第9章 番外編〜大和×詩織〜初体験
微かに聞こえてくる息遣い。
本当にいる…
そう思ったら、大和に対する
罪悪感が止まらなくなり
詩織は静かに鍵を開けた。
カチャー。
鍵が開いた音に大和も気づき
その扉をゆっくり開ける。
そこにはいつも笑ってる詩織が
小さくなってただ泣いていた。
大和はそっと扉を閉めて、再び鍵をかけた。
ただ黙ったまま涙を流す詩織の
手を引きソファへと座らせ
大和もまたソファに座った。
「なぜ、そんなに泣いているのですか?」
大和は今までにないくらい
優しく包み込む様に声をかけた。
「お見合い…」
その言葉にビクッとする詩織。
そんな詩織が落ち着く様にと背中を
優しく摩る。
「したくないのですよね?」
コクっと頷く。
「理由を話して頂けませんか?」
少し間を開けたあと
詩織はフルフルと首を横に振った。
話したくはないという印。
大和は困ったなと心で思いながらも
自分が学んできた女性の心を
振り返った。
お見合いをしたくない理由、
考えてみればそれは一つしかないのでは?
「好きな男性がいらっしゃる…」
詩織は目を見開き、息を飲む。
ビンゴ…と大和は思った。
「やはり、そうでしたか。
ですが、後から断ることもできると…」
「それでも嫌なの!」
その理由は大和にもわかっていた。
佐伯 隆俊。
独自のルートで調べた所
お見合いと言って、女性を食い散らかす
という噂を耳にした。
恐らく、詩織様はそれを知っている…
「噂を…聞いたのですね?」
静かに頷く詩織。
いつの間にか、涙は止まっていた。
「あの人はお見合いがしたいんじゃない。
ただ私と寝たいだけよ…
初めてなのに…そんなの嫌!
好きな人がいるのに、そんなの嫌!!」
大和は、自分には身体を
触らせる詩織に疑問を感じた。
好きな人がいると言うのに
執事には触れられてもいい。
でもお見合いはしたくないなど
おかしな話だ。
………まさか…
いや、そんなわけないと大和は
ふっと思った考えを奥に閉まった。