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第4章 蛇蝎の槽

コートを男に預けたときに、その大きく開いた背中が見えた。

「……！」
また、香里は息を呑んだ。
マリーの背中には、大きな翼を持った、一人の天使が舞い降りている。
モノトーンの美しいタトゥーだった。

「ふふ、私はあなたを天国に導く、エンジェルよ」

「……」
香里は見惚れてしまい、声が出なかった。

マリーはここの調教師である。
その周りにはいつも竿師の男達が従っていた。マリーの特技はオーガズム調教、男女問わずにマリーの手にかかればどんな人間も快楽地獄に堕ち、何度も絶頂に追い込まれる。あらゆる性玩具を駆使し、様々な性癖に対応する。