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第2章 ハブの毒牙

「もうすぐだな、お前の家は。 近所の目もあるだろうから、この辺で下りるか」
「……」
美雪の家は閑静な住宅街にある一戸建てだった。 夫の聡一郎が前妻と結婚したときに購入したものだ。 庭付きの高級住宅が並ぶなかでも、一際広い敷地に建っている。
すでに陽は落ちているとはいえ、まさか家の前まで送られるわけにはいかない、夫の帰宅する車と遭遇する可能性だってあるのだ。

羽生はホームセンターの大きな駐車場の片隅に車を停めた。
平日の七時近く、まだ多くの客が出入りしている。
庭に植えるのだろうか、苗木を買った老夫婦。 大きなダンボールを車のトランクに積み込む男性。 若い夫婦が連れている女の子は何か食べながら、車のそばを通り過ぎていった。