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第3章 美畜の宴

娘の香里は学校からさっき帰ってきたばかりだった。いつもはたいてい演劇部の練習があるのだ。 本当は小さい頃からバレエをやっていたのだが、身体の発育が良くなりすぎて断念することになった。 今はミュージカルダンサーにあこがれているらしい。

子供のころから人見知りをする美雪とは違って、活発で明るい性格だった。 学校でも人気があるらしく、生徒会の役員なども頼まれるのだが本人は固辞している。 その辺は女らしい控えめな考えらしく面白い。

その顔や身体は生みの親である聡一郎の前妻に良く似てきた、と夫は言う。
今は恋人らしい人はいないようだが、男の子にモテるという話しは愚痴のように聞かされていた。 高校一年生だが、早熟な身体はバレエのレオタードを不粋にも官能的に見せてしまうほどだから、男の子もほっておかない。 恋愛に関しては、奥手というより慎重な感じで、多分に母親の男性遍歴に嫌悪があるのかもしれなかった。