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第4章 蛇蝎の槽

ふてぶてしく言う羽生を、憮然として睨むのだが、香里は言葉をのんだ。
状況を見ても、組織的な誘拐だと思ったし、目の前の男から滲み出る冷酷さは、只者ならぬ気配を感じた。

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安代美雪はそのころ、ビルの二階にいた。
ここは高級特殊浴場、女性の介護つき個室浴場、いわゆるソープランドと言われる店だ。

美雪は昨夜のショーで調教師にレイプされ、そのままここに囚われていた。
羽生菱二はここの店長に美雪の風俗嬢としての教育を命令していたのだ。

ソープランド。 表向きには本番行為はしていないことになっている、店もそのプレイ内容に本番行為は明記していない。 でもそれは、個室内で客と女の子が売春行為をしていることを見て見ぬふりをしている、ということだけである。