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恋セヨ乙女
第13章 修学旅行ナイショの恋
「はい」


返事をして先生が玄関に向かいドアを開けた。


「吉野先生、ミーティング終わりましたよ」


「あっ、すみません間に合わなくて」


「いえ、もう終わってたようなものだからお気にならさず」


……岩尾先生の声だ。ドキドキと心臓が鳴る。
見つかったらどうしようと身を縮ませ息を潜める。



「今夜が宿泊は最後ですが気を抜かないでくださいね」


「…といいますと?」


「生徒の夜這いにはくれぐれも気を付けて。問題は起こさないでくださいよ」


「ハハハ、よく鍵をかけて寝ます」


「じゃあ今夜はまた見回りますから」


「よろしくお願いします。今日はお疲れさまでした」



パタン…
ドアが閉まった。ほっとしてへなへなと座り込む。



「…ん?どうしたの?」


戻ってきた先生が私を見て口角を上げた。


「……気が抜けただけです」


「ふーん」


その顔は明らかに面白がっていてなんだか私は面白くない。



「……先生、岩尾先生と同室なんじゃないんですか?」


「ん?何で?」


「噂でそう聞いたから…」


「噂ねぇ…先生方は随分根を回してくれてるんだね」


「?」


「夜中、生徒が本当に押し掛けてきたら困るでしょ?鈴村さんみたいに」


「な…!」


「免許を言い訳にした夜這いでしょ?」



相変わらず涼しい顔で何て事を言う人だろう。


「ち、違います!第一岩尾先生もいるって思ってるならあり得ないじゃないですか!」


「シッ、声気を付けて」


先生が唇に指を当て静かにと眉をひそめる。私はコクコクと頷いた。



「…とにかく大事なもの返せて良かったです。じゃあ私はこれで」


返すものも返せたし長居は不要だ。
今のうちに部屋に戻ろう。早口で先生に挨拶すると先生は目を細めて私を見る。



「まだ危険だと思うけど?」








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