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恋セヨ乙女
第19章 新しい季節
私の受け持ちは中学二年生の女の子「葵ちゃん」
とても素直で可愛い子なのだけど困ったことがひとつあって…
自転車に教材を入れ葵ちゃんの家に向かう。
葵ちゃん、今日は大丈夫だろうか…
「もうすぐ中間なんだけどな…」
遠い目で葵ちゃんを思い浮かべ、人知れずため息をついていた。
ほどなくすると葵ちゃんのお宅に着き、インターホンを鳴らして出てきたお母さんに葵ちゃんの部屋に通される。
「真優先生こんばんは!」
「こんばんは、葵ちゃん今日も元気だね」
「ハイ!私は元気デス!!」
元気いっぱいな葵ちゃんはいつも部活帰りのジャージ娘で髪を二つに結っている。
「先生昨日パカ殿見ましたか!?」
「あー、残念ながら見てないんだな」
「嘘!メッチャ面白かったですよ!今度見た方がいいですよ!」
「うん、じゃあ見てみようかな。国語のテキスト開いて」
「ハイ!…先生夕飯食べましたか?」
「まだだよ。この間出した宿題は?」
「やりました!私、さっき食べたんですけどトンカツがウチのお母さんケチだから薄い肉のミルフィーユで!」
「ハハッ、お母さん技術があるね。…ん、ここ違ってる。ここもここも…もう一度やり直してみて」
「ハイッ!…先生動物飼ってますか?」
「飼ってないけど…葵ちゃん、お口チャックだよ」
シッ!と人差し指を口に当てると葵ちゃんは「ハイッ!」と敬礼する。
…それから間違えた問題を解き直し始めるのだが…
「………」
コックリコックリ、葵ちゃんが舟を漕ぎ始める。
「葵ちゃん…葵ちゃん!」
トントントントン!と肩を叩いて起こすと「ハイッ!」と一瞬だけシャキーンとしてまた瞼が落ちる。
「葵ちゃーん…」
「ぐー…」
―――この子は口を閉じさせると寝てしまう。
部活で疲れてお腹もいっぱいになったなんとも正直な反応なのだけど…
勉強が進まない。
ただでさえこの子は勉強が苦手だというのに。
「困ったな…」
時計を見て10分だけ寝かせる。
その分の時間は私のサービス残業で引き伸ばすしかない。
それを抜きにしても人に教えるって難しい。
ただ勉強を教えるだけじゃない、生徒や家の人とのコミュニケーションとか本来の目的である『成績を上げさせる』ことだとか。
とても素直で可愛い子なのだけど困ったことがひとつあって…
自転車に教材を入れ葵ちゃんの家に向かう。
葵ちゃん、今日は大丈夫だろうか…
「もうすぐ中間なんだけどな…」
遠い目で葵ちゃんを思い浮かべ、人知れずため息をついていた。
ほどなくすると葵ちゃんのお宅に着き、インターホンを鳴らして出てきたお母さんに葵ちゃんの部屋に通される。
「真優先生こんばんは!」
「こんばんは、葵ちゃん今日も元気だね」
「ハイ!私は元気デス!!」
元気いっぱいな葵ちゃんはいつも部活帰りのジャージ娘で髪を二つに結っている。
「先生昨日パカ殿見ましたか!?」
「あー、残念ながら見てないんだな」
「嘘!メッチャ面白かったですよ!今度見た方がいいですよ!」
「うん、じゃあ見てみようかな。国語のテキスト開いて」
「ハイ!…先生夕飯食べましたか?」
「まだだよ。この間出した宿題は?」
「やりました!私、さっき食べたんですけどトンカツがウチのお母さんケチだから薄い肉のミルフィーユで!」
「ハハッ、お母さん技術があるね。…ん、ここ違ってる。ここもここも…もう一度やり直してみて」
「ハイッ!…先生動物飼ってますか?」
「飼ってないけど…葵ちゃん、お口チャックだよ」
シッ!と人差し指を口に当てると葵ちゃんは「ハイッ!」と敬礼する。
…それから間違えた問題を解き直し始めるのだが…
「………」
コックリコックリ、葵ちゃんが舟を漕ぎ始める。
「葵ちゃん…葵ちゃん!」
トントントントン!と肩を叩いて起こすと「ハイッ!」と一瞬だけシャキーンとしてまた瞼が落ちる。
「葵ちゃーん…」
「ぐー…」
―――この子は口を閉じさせると寝てしまう。
部活で疲れてお腹もいっぱいになったなんとも正直な反応なのだけど…
勉強が進まない。
ただでさえこの子は勉強が苦手だというのに。
「困ったな…」
時計を見て10分だけ寝かせる。
その分の時間は私のサービス残業で引き伸ばすしかない。
それを抜きにしても人に教えるって難しい。
ただ勉強を教えるだけじゃない、生徒や家の人とのコミュニケーションとか本来の目的である『成績を上げさせる』ことだとか。