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恋セヨ乙女
第21章 浮気の境界線
「沙映子には気を付けろ」
あれからも大友には事ある毎に言われていたが正直ピンと来なかった。
沙映子はあれからも変わらず俺に接してくるから俺も今まで通り「友達」として接した。
ピアスをウッカリ忘れたことを沙映子は平謝りしていたが、俺が真優と変わらず付き合ってると知って「安心した」と喜んでくれた。
俺たちは秘密を共有した同志のように今までより深い話をするようになっていった。
時は過ぎ、就職活動が始まった。
俺は地元で就職するつもりでいたから地元に戻ることも多くなり、真優と過ごせる時間も今までよりは取れるようになっていた。
……でも正直、俺たちは元のようには戻れていない。
酔いの代償は思った以上に大きくて後悔なんてしてもしきれない。
何より真優が俺とスキンシップを取りたがらなくなった。
本人は家庭教師先の生徒の受験が気になるとか大学が忙しいとかさもそれらしい理由を並べていたけれど…あの一件が尾を引いているのは確実だと思った。
また就活の現実が分かり始めてきた焦りも俺の平静を奪っていった。
全ての歯車が噛み合わなくなりつつある頃、真優が言った。
「教育実習は母校に行くことにした」と。
その言葉を聞いた瞬間、真優を壁に押し付けて怒鳴った。
「…あの副担に会いたいんだろ!」
「何言ってるの?大体母校に行くんだって」
「どうだか」
「大地だって忙しいって言いながら週末は飲み会ばっかじゃない。…あの子とまだ繋がってるんでしょ」
「真優だって塾の飲み会とか行ってただろ」
「誰かさんがうるさいから最近は行ってません」
それからも喧嘩は度重なり俺も真優も疲れきっていたと思う。
真優は家庭教師のラストスパートに真剣だった。
どうにか生徒を合格させてやりたいと…
真優は昔の自分をその子に重ねていたのかもしれない。
三月、桜の蕾が膨らみ始めた頃。
真優からLINEが届いた。
『葵ちゃんが合格した!嬉しい!!』
「…良かったな」
真優の喜びも俺にとっては他人事だった。
あれからも大友には事ある毎に言われていたが正直ピンと来なかった。
沙映子はあれからも変わらず俺に接してくるから俺も今まで通り「友達」として接した。
ピアスをウッカリ忘れたことを沙映子は平謝りしていたが、俺が真優と変わらず付き合ってると知って「安心した」と喜んでくれた。
俺たちは秘密を共有した同志のように今までより深い話をするようになっていった。
時は過ぎ、就職活動が始まった。
俺は地元で就職するつもりでいたから地元に戻ることも多くなり、真優と過ごせる時間も今までよりは取れるようになっていた。
……でも正直、俺たちは元のようには戻れていない。
酔いの代償は思った以上に大きくて後悔なんてしてもしきれない。
何より真優が俺とスキンシップを取りたがらなくなった。
本人は家庭教師先の生徒の受験が気になるとか大学が忙しいとかさもそれらしい理由を並べていたけれど…あの一件が尾を引いているのは確実だと思った。
また就活の現実が分かり始めてきた焦りも俺の平静を奪っていった。
全ての歯車が噛み合わなくなりつつある頃、真優が言った。
「教育実習は母校に行くことにした」と。
その言葉を聞いた瞬間、真優を壁に押し付けて怒鳴った。
「…あの副担に会いたいんだろ!」
「何言ってるの?大体母校に行くんだって」
「どうだか」
「大地だって忙しいって言いながら週末は飲み会ばっかじゃない。…あの子とまだ繋がってるんでしょ」
「真優だって塾の飲み会とか行ってただろ」
「誰かさんがうるさいから最近は行ってません」
それからも喧嘩は度重なり俺も真優も疲れきっていたと思う。
真優は家庭教師のラストスパートに真剣だった。
どうにか生徒を合格させてやりたいと…
真優は昔の自分をその子に重ねていたのかもしれない。
三月、桜の蕾が膨らみ始めた頃。
真優からLINEが届いた。
『葵ちゃんが合格した!嬉しい!!』
「…良かったな」
真優の喜びも俺にとっては他人事だった。