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恋セヨ乙女
第21章 浮気の境界線
それからサナちゃんといろんな話をした。
大学の話、教員採用試験の話、「教師」としての仕事の話や葵ちゃんが合格するまでの道のりと苦悩、塾のバイト…



それから話は恋愛に移りサナちゃんに核心を突かれる。


「彼氏とうまくいってないみたいだけど大丈夫?」


「………」


大丈夫なんだろうか、私。



「正直、この先昔みたいに仲良く戻れるのか不安です」



サナちゃんは無理に聞いたりはしなかったけど、ポツポツと話始めたら最近の経緯を全部話していた。



「あちゃー、浮気ねぇ…」


「私にも彼氏と付き合う前にちょっとあって…それが彼は許せなくて。それは分かるんです。…元々彼の余り好きじゃなかった人だから」


「へぇ、全然知らなかったわ。真優がねぇ…」


「一度入った亀裂はなかなか戻らないものですね」



喧嘩してスッキリ分かり合えるなんて嘘だと思う。
しこりはどこかに必ず残る…


「……それは本人の努力次第じゃない?」


真面目な声でサナちゃんは言った。


「…こういう時大抵男はダメだよ。もし関係を持ち直したいなら女が大人になるしかないかもね」


「………」


「真優は?どうしたい?また仲良くなりたいと思うならちゃんと冷静に話たほうがいいよ」


――――私はどう思ってるのだろうか。
昔みたいに戻りたいと思いながらどこかで諦めてた部分もある。


でも大地が地元に戻ってくれば…
あの子と離れれば昔みたいになれるんじゃないかって短絡的な自分もいた。



「……まあよく考えて。とりあえずあと一週間は実習第一ね」


「はい…」



それからもサナちゃんと話ながらぐるぐると大地の事が頭を回る。


どうしたい?
私は…どうしたいの?





「今日は私の奢りね」


「えっ、悪いからいいですよ」


「教え子に奢ってあげてもバチはあたらないでしょ?」


伝票を持ってサナちゃんはレジへ向かう。


「…先生、ご馳走さまでした」


「ハハっ、真優の“先生”久々に聞いたね」


「先生は先生ですから」
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