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第22章 新生活

「先生は彼女は？」


「…さあ」


「何ですか、人に答えさせておいて自分は秘密？」


「鈴村さんが勝手に話したんだろ」


「…その言い方」


変わってない。
それでいて相変わらず生徒の前では「好先生」モードなんだろうな。


「……ずっと気になる人がいたから今はいない」


「………」


不意打ちの言葉に顔を上げると先生の横顔が真剣なものに見えた。


「後悔してたんだ、誰かに取られるくらいならもっとアクション起こしても良かったかもって･･･その時は無理でも待つことはできたんじゃないかって」



なんか…チクンと胸が痛い…かも。



「でも今はもう遠慮せずに行こうかなって…そんなとこ？」



「………」



他人事みたいに話す先生は一瞬遠く感じた。



私には気軽にあんなことしたくせに、そんな真っ直ぐ誰かを想ってたんだ。


サナちゃん、どうやらサナちゃんの読みはハズレみたい。


……なんて大地を引きずりながら思う私は図々しいにも程がある。



「…先生の気持ちが届くといいですね」


「どうかな。思った以上に鈍感なヒトみたいだから…」


そう言いながら先生は苦笑いした。