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恋セヨ乙女
第22章 新生活
「ど、どうすればいいの?」


「だからー、左が方向で右が高度」


「ゆっくり上に上げてみて」


言われた通りにやってみるとプロペラが回り出す。


「うわー回った!凄いね」


まだ飛んでないのにそれだけで嬉しくて皆を見ると生徒たちが顔を赤らめる。



「やべ、今キュンてきた」


「初めて真優ちゃん笑ってくれたよ…」


「…あー、でも飛ばすのは難しいや。あんまり上がらないね」


なかなか飛ばないヘリコプターだけど夢中になってしまう。


「……ヘタクソ」



馴染んだ声が背中から聞こえたと思ったら、コントローラーを持つ手に手を添えられ操作をガイドする。
しかもその格好は後ろから抱きしめるような体勢で…


「せ、先生!」


「鈴村さんは思いきりが悪いんだよ」



生徒も見てるのに!


チラッと彼らを見ると明らかにどうしていいか困っている。
添えられた手が、触れた背中が甘く疼いた。


「わ、分かりました!先生お手本見せてください」


腕から抜け出しコントローラーを渡すと「じゃあ見てて」と顔色一つ変えずにヘリコプターを空に飛ばす。



……結構こういうこと平気な人なんだよね。



ヘリを見上げながら微妙な気持ちになった。
オレンジの機体が蒼に眩しく光っている。



「真優先生はゴールデンウイークどこかに行くの?」


一人の生徒が私に尋ねた。


「ううん、特に…だから実家に帰ろうかな」


「実家遠いの?」


「そんなでも…みんなは何か予定あるの?」


「俺はバイト」


「俺は彼女と旅行」


「高校生で旅行?…凄いね」


ゴールデンウイークか…
本当に予定なんて何一つないから実家に帰ってゆっくり休んでこよう。
久々に友達に会うのもいいかもしれない…


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