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恋セヨ乙女
第23章 家庭訪問
家に帰るとお父さんが帰っていて、釣った魚を調理していた。


先生は挨拶をした後すぐに帰ると言ったけど私とお母さんの猛烈な引き留めに根負けし、夕飯を食べていってくれることになった。


夕飯はお母さんとハンバーグを作る。
その間先生はお父さんの晩酌の話し相手になっていたけれど気がついたら飲まされていて、結局その日は我が家に泊まる流れに。


「なんか今日凄い食った…」


グロッキーな先生を介抱しながら和室に布団を敷いていた。


「お父さんもお母さんも嬉しかったみたい」


「そう?急に来て迷惑じゃなかったかな」


「全然!あのお父さんがあんなに話すんだもん。びっくりしちゃいました」


「普段は無口なんだ?」


「あんまり喋る方じゃないですね」


布団を敷き終えて畳にうつ伏せてた先生に横になるよう声を掛けると先生が私を呼ぶ。


何?と近づくと私の手首を掴んで甘えた目をしてとんでもないことを言う。


「鈴村さん、膝枕」


「えっ!!?」


「早く」


「…酔ってます?」


「うん」


「………」



酔っぱらい。
この間面倒見てもらったし今度は私…か。


「しょうがないですね…ちょっとだけですよ」


「うん」


「寝るときはちゃんと布団で寝てくださいね」


「うん」


側に座ると先生が膝に頭を乗せる。



「お父さんとの話、面白かったよ」


「そうですか?魚の話しかしないでしょ?」


「うん、うちの父親思い出した」


先生が手を伸ばし私の髪で遊ぶ。


「一緒に暮らしてないんですか?」


「死んだんだ。俺が中二の時に」


「………」



「父親は高校で地学教えてた。…今思えば結構いい教師だったと思う」


ポツリポツリ、先生は思い出を紐解くように語り出す。
きっとそれらは大切な物なんだって…声を聞いて思った。


「生徒もよくうちに来てた。うちの母親は親父の教え子で13歳離れてたから生徒の方が年が近かったと思うけど…よく面倒も見てた」


「……」



「俺は兄弟がいなかったけど親父の生徒が兄さん姉さんみたいな感じでさ、うちに来ればよく一緒に遊んでもらったし勉強も教わった」
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