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恋セヨ乙女
第26章 深まる二人
翌日、言われた通りに先生の家に行くとお母さんが忙しそうに動いていた。


「おはようございます」


「あらおはよう真優ちゃん」


「あの、今日こちらに来るようにって恭也さんに言われたんですけど」


「ええ、私からもお願いしたの」


お母さんはニッコリ笑って掃除機の手を止める。



「今日…何かあるんですか?」


「あら恭也に聞いてない?」


「来れば分かるからって…」


「相変わらず言葉の足りない子ねぇ…」


困ったとため息をつくお母さん。
それから先生に似た笑顔でフッと笑って私に言った。


「今日は主人の命日なの」


「………」


「だから人が沢山来るのよね」


「し、親戚とかですか?私場違いですよね!?」


部外者だし私…


「あ、違うの。主人の実家とは絶縁だし、私の両親も五年前に亡くなったから親戚じゃなくてね。主人の教え子が来てくれるのよ…毎年ね」


「生徒さんですか…」


「真優ちゃんは恭也の大切な子だし、女手もないから是非来て欲しかったのよ」


「…そっちがメインですね?」


「そんなことないわよー」


カラカラ笑うお母さんは相変わらず可愛らしくて朗らかだ。
お邪魔して早速料理の準備に取りかかる。


「お昼はサックリうどんにしようと思うの」


「はい」


「あとおかずとかつまめるものをね」


お母さんの指示に従い料理を作り始める。


唐揚げ、ポテトサラダ、きんぴら、チャプチェ…
随分和洋折衷だな…なんて思いながら大量のごぼうをささがきにしているとビールケースを抱えた先生がキッチンに入ってきた。


「何作ってるの?」


「今はきんぴらを…ていうか先生、お父さんの命日ならそうと教えてくださいよ」


「ああ…来れば分かるかと思って」


「相変わらずマイペースなんだから…」


バリバリと段ボールを剥いて先生が冷蔵庫にビールを入れる。


「…何人くらい来るんですか?」


「昼間は10人前後か?」


「凄いですね…恭也さんのお父さん、いい先生だったんだ」


会ってみたかったな…私も。


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