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恋セヨ乙女
第26章 深まる二人
「…うん、父さんはいい教師だった」


「私もお線香あげさせてもらっていいですか?」


「真優にあげてもらったら父さんも喜ぶよ」


きんぴらの下準備をして和室に行くとお仏壇には綺麗な花が沢山飾られていて…


遺影のお父さんとも初対面。


「…恭也さんはやっぱりお母さん似ですね」


「よく言われる」


「お父さんワイルドだったんですね…」


「見た目はね。こんなだけど星が好きで俺によくいろんな話をしてくれたよ」


「…そっか」


「うん…」



先生が蝋燭に火を着けてくれてお線香に火を着ける。
小さな炎を扇ぎ消すと細く綺麗な煙が立ち上った。



「………」



鐘を鳴らして手を合わせる。


先生のお父さん…
きっとお父さんの遺志は先生に受け継がれているのだろう。



「私もお父さんに星の話聞きたかったな」


振り向いて先生を見ると困ったように眉を下げた先生が…


「…じゃあ代わりに俺が話そうか?」


「うん、恭也さんがしてくれる?」


「ああ…」




先生をもっと知りたい、理解したい…
強く思った。



「…いつか子供が出来たら子供にもしてやりたいな」


「…そうですね」



最近の先生は未来を意識させる言葉が増えた。
ハッキリとした言葉を貰った訳じゃないけれど、…いつか本当にそんな日が来たらいいなって思う。



「真優に似た子だったら可愛いだろうな。俺多分嫁にやれない」


「…本当に出せなそうですよね、恭也さん」


二人で遠い未来の話をしていると興奮した声が聞こえた。


「何!?子供生まれるの!?」


……お母さん。



「生まれない」


「じゃあ何よ今の会話、将来の話?恭也今年で29よ?悠長なこと言ってないでさっさと作っちゃいなさい」


「それが母親の言う台詞か!…第一モノには順序ってもんがあるんだよ」


「…そんな呑気なこと言ってると真優ちゃん他の人に取られちゃうからね」


「………」


「もし恭也以外の人のものになっても私とは仲良くしてね真優ちゃん」



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