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恋セヨ乙女
第6章 彼女の存在
「恭也、誰?その子」


そこに立っているのは女の人。
手にはスーパーの袋を持っている。


華奢な彼女がヒールを響かせて近づいた。


美人…


私はその人から目が離せない。



「鈴村さん」


「はい…」


「口開いてる」


先生が呆れたように私を見る。


我に返って手で口を押さえ女の人に会釈した。


「高校生?…恭也の生徒さん?」



「そう、俺が副担してるクラスの子」


「そうなの。初めまして、恭也がいつもお世話になってます」


その人は私に微笑んだ。


「あ、いえ、こちらこそ」


「でもどうしてこんなとこに?」


「…ちょっと事情があってな」


「事情?」


その人は怪訝そうに首をかしげた。


「あの、その…電車で痴漢に遭って先生に助けてもらって…」


なぜか弁解するみたいに私は彼女に話していた。
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